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トステアは髪の中で何をしている?本当に「形状記憶」するのか、科学的に調べてみました!

執筆者の写真: Kyiii
Kyiii
9月3日
読了時間: 8分

前回までの記事で、トステアがどんな成分なのか、そして実際に美容室やホームケア製品でどのように使われているのかを調べてきました。

でも、ここまで調べると新しい疑問が出てきます。

「結局、トステアって髪の中で何をしているの?」

そして、トステアについて調べているとよく出てくるのが、

「形状記憶」

という言葉。

本当に髪の形を記憶するのでしょうか?

今回はここを、メーカーの説明だけではなく、実際に公開されている研究結果を見ながら調べてみました。

Kyiiiでも導入を検討しているので、私たち自身も勉強しながら、分かったことを共有します。


まず結論から


かなり興味深い研究結果がありました。

ロート製薬と神戸大学の共同研究では、トステアの正式な成分名であるアミノエチルチオコハク酸ジアンモニウムを使って、毛髪内部をSPring-8で分析しています。

その結果、

毛髪内部にある「Intermediate Filament(IF)」というケラチン繊維のねじれが小さくなっている

ことが確認されました。

さらに、トステアを配合したヘアケア製剤を縮れ毛に使用してドライヤーブローを行ったところ、実際のうねりの改善も確認されています。

これ、かなり面白いですよね。


そもそもIFって何?


ここから少し難しくなります。

髪の毛は大きく分けると、

  • キューティクル

  • コルテックス

  • メデュラ

などの構造からできています。

その中でも、髪の大部分を占めるコルテックスには、ケラチンからできた細かな繊維構造があります。

その一つが、

Intermediate Filament(IF)

です。

日本語では「中間径フィラメント」と呼ばれます。

このIFは、髪の弾力や形状にも関係する重要な構造です。

つまり、

「髪の表面に何かを付けている」

だけではなく、

髪の内部にある構造そのものに変化が起こっている可能性がある

ということです。


SPring-8で髪の内部を調べた


今回の研究で面白いのが、

SPring-8

を使っていること。

SPring-8は、兵庫県にある大型放射光施設です。

非常に強いX線を利用して、物質の構造を非常に細かく調べることができます。

この研究では、カールの強い縮れ毛を使い、

①未処理の髪

②アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウムで処理した髪

を比較しました。

すると、処理した髪ではIFの「乱れ幅」が小さくなっていました。

研究では、この乱れ幅がIFのねじれの程度を反映するとされており、

トステア処理によってIFのねじれが小さくなった

と考えられています。


つまり「髪の中のねじれ」に関係している?


ここはトステアを理解するうえで重要なポイントだと思います。

縮毛矯正では、還元剤などを使って毛髪内部の結合状態に作用させ、アイロンで形を整え、酸化によってその形を固定します。

一方、トステアについて今回の研究で確認されたのは、

IFというケラチン繊維の構造の変化

です。

つまり、縮毛矯正とは作用の仕組みが違います。

トステアは、

「縮毛矯正のように髪の結合を切ってストレートにする成分」

ではありません。

ここは非常に重要です。


では、なぜうねりが改善するの?


研究では、トステア処理後にIFのねじれが小さくなっていることが確認されています。

そして実際に、トステアを配合したヘアケア製剤を縮れ毛に塗布し、洗い流した後にドライヤーブローをすると、同じ場所のうねりが改善しました。

つまり、

毛髪内部の構造変化

髪のうねりの変化

という関係が示されています。

もちろん、これだけで「髪のすべてのうねりがトステアによって解決する」と考えるのは早いでしょう。

髪のうねりには、毛髪内部の構造だけでなく、水分状態、ダメージ、毛根の形状など、さまざまな要因があります。

研究自体も「うねり改善メカニズムの一つを解明した」という表現をしています。

この「一つ」というところは大切です。


そして気になる「熱」との関係


トステアについて調べていると、

「熱を加えることで効果を発揮する」

という説明をよく見かけます。

実際、今回の研究でも、トステアを配合したヘアケア製剤を髪に使用した後、

ドライヤーブロー

を行っています。

そして、その後にうねりの改善が確認されています。

ただし、

「ドライヤーを当てればトステアが髪を永久にストレートにする」

という話ではありません。

ここは誤解しないほうがいいでしょう。

あくまで今回の研究では、トステアを配合した製剤を使用した髪にブローを行った結果、うねりの改善が確認されたということです。

実際の製品では、濃度、pH、他の成分、使用方法などが違います。

だから、

「トステア配合=どんな製品でも同じ効果」

とは言えません。


「形状記憶」という言葉はどう考えればいい?


ここが一番気になっていたところです。

トステアについて調べると、

「形状記憶」

という表現が出てきます。

でも、私たちが普段イメージする「形状記憶」と、

今回の研究で確認されていることは、少し分けて考えたほうがよさそうです。

研究で確認されているのは、

  • トステアが毛髪内部へ浸透したこと

  • IFのねじれが小さくなったこと

  • トステア配合製剤+ブローでうねり改善が見られたこと

です。

一方で、

「一度ストレートにした髪が、何度洗っても永久にその形を記憶する」

という意味での形状記憶だと考えるのは適切ではありません。

むしろ、

熱などを利用して髪を整え、その状態を維持しやすくする方向に働く成分

と考えたほうが、実際の研究結果や製品の使われ方を理解しやすいと思います。


ブリーチ毛の内部にも入ることが確認されている


さらに興味深いデータがあります。

ロート製薬の研究では、ブリーチ毛にアミノエチルチオコハク酸ジアンモニウムを浸漬させ、イメージングマスで分析しています。

その結果、

毛髪内部への浸透が確認されました。

つまり、トステアは髪の表面に乗っているだけではない。

少なくとも、この実験条件では毛髪内部まで到達していることが確認されています。

これが先ほどのIFの構造変化ともつながってきます。


トステアは「補修成分」とだけ考えると少し違う


美容業界では「髪の補修成分」という言葉がよく使われます。

もちろんトステアもコンディショニング成分として使われています。

でも今回の研究を知ると、

単純に「ダメージホールを埋める成分」

というイメージだけでは説明しきれません。

毛髪内部のケラチン繊維の構造に着目して、

髪のうねりや形状に関係する部分へアプローチする

というところが、トステアの面白いところだと思います。


縮毛矯正とトステアは競合するの?


ここもKyiiiとして気になるところです。

私は、

競合するというより、目的が違う

と考えています。

縮毛矯正は、

「癖そのものをしっかり伸ばしたい」

という場合に使う技術。

トステアは、

「髪のうねりやまとまり、熱によるスタイリング性などを改善したい」

という方向で考える成分です。

例えば、

強い癖+健康毛

なら、トステアだけで縮毛矯正の代わりにするのは難しいでしょう。

一方で、

年齢とともに出てきたうねり

や、

ダメージによるまとまりにくさ

などには、別のアプローチとして面白い可能性があります。

実際、ロート製薬の研究も加齢による髪のうねりへの応用を視野に入れています。


ここまで調べて、かなり面白くなってきました


最初は、

「トステアって最近よく聞くけど、本当に何がすごいんだろう?」

くらいの気持ちで調べ始めました。

ところが調べてみると、

SPring-8を使った毛髪内部の構造解析

まで行われている。

しかも、

IFのねじれが小さくなった

という具体的な変化まで確認されている。

さらに、

毛髪内部への浸透

と、

トステア配合製剤+ブローによるうねり改善

も確認されています。

これは、単なる「新しい髪質改善成分」という一言では片付けにくいですね。


ただし、まだ分からないこともある


ここが今回の記事で一番伝えたいところです。

研究で分かってきたことはあります。

でも、

「トステアを使えば誰でも髪がストレートになる」

わけではありません。

また、

「トステア=縮毛矯正」

でもありません。

そして、

「トステア配合なら全部同じ」

でもありません。

成分の濃度、処方、pH、他の成分、熱の与え方、髪の状態。

これらによって結果は変わる可能性があります。

だからこそ、Kyiiiでも導入を検討するなら、

「トステアが入っているから使う」

ではなく、

「どんな髪に、どんな目的で、どんな処方で使うのか」

まで考えていきたいと思っています。

まだまだ調べることがあります。

特に気になるのが、

「トステアとレブリン酸、γ-ドコサラクトンは何が違うの?」

という問題。

どれも「熱」「髪質改善」「まとまり」などのキーワードで出てきますが、実際には作用する場所も考え方も違います。

次回はここを比較してみます。







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