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縮毛矯正でアルカリは何をしているの?

  • 執筆者の写真: Kyiii
    Kyiii
  • 1 日前
  • 読了時間: 5分

前回の記事では、「酸性」「中性」「アルカリ性」という言葉について解説しました。

では、縮毛矯正ではなぜアルカリを使うのでしょうか?

「アルカリで髪を軟化させて、還元剤を働かせる」

美容師の説明では、このようにまとめられることがあります。

しかし、実際にはもう少し分けて考えたほうが分かりやすい。

アルカリによる作用と、還元剤による作用は同じものではありません。


アルカリ剤を入れると何が起こる?


一般的な縮毛矯正では、アルカリ剤を使用することがあります。

アルカリ剤を加えることで薬剤のpHが上がり、毛髪にもさまざまな変化が起こります。

代表的なのが、毛髪の膨潤や軟化です。

髪はアルカリ性の環境に置かれると膨潤しやすくなり、毛髪の状態が変化します。

これによって薬剤が髪に作用しやすい環境をつくることができます。

ただし、ここで注意したいのが、

「アルカリ=還元」ではない

ということです。

アルカリによる毛髪の膨潤や軟化と、還元剤によって髪の結合に作用することは、別の現象です。


縮毛矯正で使われるチオグリコール酸とは?


縮毛矯正やパーマで代表的な還元剤の一つが、チオグリコール酸系の還元剤です。

チオグリコール酸アンモニウムなどが、その代表例です。

縮毛矯正では、この還元剤によって毛髪内部のSS結合に作用させます。

その後、アイロンなどで髪の形を整え、酸化工程によって再び結合させる。

これが、縮毛矯正の基本的な化学反応の一つです。

つまり、

アルカリ剤と還元剤は、そもそも役割が違う

ということです。

では、なぜアルカリ領域でチオが活発になるの?

ここが少し化学的な話になります。

チオグリコール酸系の還元剤は、pHによって存在する化学種の割合が変化します。

酸性側ではチオール型が多く、アルカリ側になるほど、還元反応に関与しやすいチオレート型の割合が増えていきます。

そのため、チオグリコール酸アンモニウムなどのチオ系還元剤は、アルカリ領域で還元作用が活発になりやすいと考えることができます。

ここから、

「アルカリにするとチオが働く」

という美容師向けの説明につながっていきます。

しかし、これも、

「酸性ではチオが働かない」

という意味ではありません。

あくまで、

pHによってチオ系の存在状態が変化し、還元反応の起こりやすさも変化する

ということです。

アルカリ=還元スピードアップ、だけではない

ここまでを整理すると、

アルカリ剤を入れる

薬剤のpHが上がる

毛髪が膨潤しやすくなる

毛髪の状態が変化する

そして同時に、

pHが上がる

チオ系の化学種の状態が変化する

チオレート型の割合が増える

還元作用が活発になりやすい

という、別々の現象が関係しています。

つまり、縮毛矯正を

「アルカリで髪を軟化させて、チオを速く働かせる」

だけで説明してしまうと、少し単純化しすぎてしまいます。

アルカリによる毛髪への作用と、チオ系還元剤そのものの化学反応は、分けて考えたほうがいいのです。


「軟化」と「還元」は同じではない


ここはKyiiiが特に大切にしているところです。

縮毛矯正では、

軟化

膨潤

還元

という言葉がよく登場します。

しかし、この3つは同じ意味ではありません。

例えば、アルカリによって毛髪が膨潤したからといって、それ自体がSS結合を切断する還元反応というわけではありません。

逆に、還元剤がSS結合に作用することも、単純に「髪が柔らかくなった」ということと同じではありません。

これらは、縮毛矯正の中で関係し合ってはいますが、それぞれ違う現象です。

この違いを理解すると、酸性ストレートについても見方が変わってきます。

では、酸性でも還元できるの?

ここで一つ疑問が出てきます。

「アルカリ領域でチオの還元作用が活発になるなら、酸性ストレートではどうやって髪を還元しているの?」

という疑問です。

実は、ここが「酸性ストレートは癖が伸びない」と言われる理由を考えるうえでも重要です。


アルカリ領域のほうがチオ系の還元作用が活発になりやすい。


これは一つの事実です。

しかし、

酸性だからチオ系が還元できない

ということではありません。

還元剤の種類や濃度、毛髪の状態、薬剤の組成、温度、時間など、さまざまな条件によって還元の進み方は変わります。

だからこそ、

「酸性=還元できない」

と考えるのは正しくありません。

アルカリを使う理由を一つに決めない

縮毛矯正におけるアルカリの役割を考えるとき、

「アルカリはチオを活性化するため」

「アルカリは髪を軟化させるため」

と一つだけに決めてしまうのではなく、

pHを変化させることによって、毛髪と薬剤の両方に複数の変化を起こしている

と考えるほうが分かりやすいでしょう。

そして、この考え方をすると、次の疑問が出てきます。

「じゃあ、酸性ストレートは、アルカリ縮毛矯正と何が違うの?」

酸性ストレートは、単純に「アルカリを使わない縮毛矯正」というだけではありません。

アルカリによる膨潤や軟化を大きく利用せず、酸性領域で還元反応を成立させながら髪を伸ばしていく。

だからこそ、酸性ストレートでは薬剤の設計だけでなく、時間や施術工程まで含めた考え方が重要になります。

次回は、

「酸性ストレートはなぜアルカリ縮毛矯正よりダメージを抑えやすいの?」

について、さらに掘り下げていきます。






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